リング

★★★★ 今月ブルーレイ発売が待ち切れず傑作邦画ホラー「リング」を観ました。この映画は中学生の頃同級生と公開初日のレイトショーを観に行きメチャメチャ怖かった、映画館内でランシドみたいな格好をした不良に絡まれた、地元の癒し系タレントがキャバ嬢みたいな女性を連れて観に来ててショックを受けた、などなにやら色々と思い出深い作品です。公開当時はそんなに話題になっておらず、じわじわとヒットしたように覚えています。

あらすじ:ちまたに勃発する原因不明の突然死。
呪いが込められたビデオテープの存在の噂は、都市の人々の間に急速に広まっていった。浅川玲子(松嶋菜々子)は、ある事件を追いかけるうちにそのビデオテープを観てしまう。そのビデオには、観たものを7日間の期間で確実に死に追い込むという、恐怖の呪縛が潜んでいた。玲子は別れた夫の高山竜司(真田広之)に相談するが、彼もまたそのビデオを観てしまう。 息詰まるような限られた時間の中で、彼らは生き残りをかけてその謎に挑む。(キネマ旬報映画データベースより)

今、改めて観ると非常にシンプルなストーリーのシチュエーションホラーですね。このヒットを受けて作られたであろう「着信アリ」や、今でも人気シリーズとして続いている「ファイナルデッド〜」シリーズでだいぶ馴染み深くなった”一定のルールに従って死ぬ”系ホラー。このようなタイプのホラーは登場人物がいかにその設定を理解して右往左往するかがキモなんですが、今観ると「リング」はちょっと苦しい。いい歳した大人がそうそう心霊や呪いを信じるかなあ。その点「着信アリ」は主人公が学生達で、不条理な死を目の前で観てしまうなど説得力があったかと思います。ただ、その主人公の設定の飲みこみという点以外は圧倒的な傑作。そもそも「着信アリ」にしてもヒットしたこの作品のディテールを整えて作ったようなもんだろうし。謎のビデオテープ、7日間のタイムリミット、限られた情報から真実に迫っていくストーリーはスゴく気味が悪くて素晴らしい。また貞子が最後の最後まで出てこないという演出もイイ。これは前作「女優霊」で霊が出まくりで恐怖が薄れたことを踏まえたそうです。たしかに「女優霊」は霊があまりにはっきりくっきり表情まで見えていたので少し気が抜けましたね。「リング」は極力露出を抑えたことで神秘性が増しました。

貞子の呪いがとけたはずの高山が死に、浅川は呪いのビデオの真実らしいものに辿りつく。ビデオのルールを把握した浅川はビデオデッキを車に積み、実家へ車を走らす・・・この、最初あれだけ感情的になっていた浅川が貞子のルールを完全に理解した途端、冷静になる対比が怖ろしい。そして貞子。貞子については昔の新聞記事や身内の人間の情報から大体の人物像は判明するものの、彼女の霊は何も言葉を発さない。最後の有名シーンも姿を現すものの声を出すことは結局なかった。浅川の辿りついた答えが本当に正しかったかは謎・・・で終わっていれば完璧だったのですが。

※「リング2」以降は完全に後付けなので、物語は続いているもののそこで明かされる事実は関係ないものと考えています。もうすぐ公開の「貞子 3D」も予告動画を観る限り、オリジナルの理念を受け継いでいるようには見えませんね・・・。

そういえば我が家のテレビは58インチ。これだと貞子も無理なく出て来れるなあ。最近は映画を観るにしてもスマホタブレット、携帯ゲーム機など色々なデバイスでの鑑賞が可能なので貞子が呪うにはスゴく効率がいい環境かも。リングは2以降はHuluでネット配信されてたくらいだし。貞子が本気で呪う気があるならネット配信でサムネイルを萌えアニメかエロ動画にするとイイと思う。

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