もっとデカくてもいいだろ!『マンイーター』

★★

ウルフクリーク 猟奇殺人谷」のグレッグ・マクリーンが製作と監督と脚本の三役をこなしたサバイバルムービー。2007年の作品だけど大人の事情で?日本では2012年公開。サム・ワーシントンが「ターミーネーター4」「アバター」で売れる前に脇役で出演。パッケージは主役を差し置いてサムがセンターを飾ります。

世界遺産に登録されているオーストラリアのカカドゥ国立公園で、観光客を乗せたリバークルーズ船が何者かに襲われ沈没する。現地ガイド(ラダ・ミッチェル)を含む乗客らは何とか川に点在する小島に到達するものの、彼らを襲った巨大な何かの正体は不明のままだった。やがて満ち潮になったため、乗客たちは対岸に渡ろうとするが……。
人食い巨大ワニに船を壊された一行は、機転を利かせなんとか対岸にロープを渡し、綱渡りしていきます。このパターンって「ピラニア」でもそうだったけど絶対ロープ切れる!そもそも10m以上の距離を腕力だけで綱渡りとか、無理でしょ。案の定対岸に辿り着くまでに多少の犠牲が出ることになるのですが。男らしく主人公が最後に渡ると他のメンバーはいません。なんと危ないからって先に逃げてしまっていたのです。なんて薄情な連中!しかも、こんなとき逃げたメンツは死ぬのがパターンですが、この作品では誰も死にません。「マンイーター」は作品を通して人死にが少ない、モンスターパニック物としては奇妙な作品です。これもオリジナリティなのかもしれませんが、個人的にはちょっと物足りませんでした。

僕がオーストラリアのジャングルの事情に疎かったり、2ちゃんの巨大生物スレで馴らされてるのもあってか、このくらいのワニならジャングル奥地に行けば普通にいるんじゃないの?って思ってしまったのもマズかったです。幼い頃、僕の地元の市営動物園にいたのは痩せ細ったワニでした。そのとき飼育員の人に「ちゃんと育ったワニはホントはメチャでかい」と聞かされてたもんだから、今作で人喰い巨大ワニが出てきても「お!ワニじゃん!」で済んでしまったのです。なのでこのワニ一匹退治したところで(軽くネタバレ)劇的なエンディングっぽい曲が流れても、あれ?この程度のワニなら何匹も群れてそうなもんだし気を抜くの早すぎじゃない?となってしまったのです。

ただ、大自然の映像はこのジャンルでは考えられないほど立派な映像で感動を覚えるほど。Blu-rayで発売するだけはあります。ホントは「アース」みたいなネイチャードキュメンタリー作品で使う映像を借りてるんじゃないのか?と思ってしまうほどの空撮ですが、キャストも豪人で揃えてるくらいだし、オーストラリア観光映画として気合を入れて作られてるのでしょう。観光客がワニに喰われる映画だけど。