全ての始まり?『テキサス・チェーンソー ビギニング』

★★★

1939年8月、一人の赤ん坊が食肉処理工場で生まれた。その生まれながらに肢体の不自由な子は包装紙に包まれ、直ぐにゴミ容器の中に捨てられた。たまたまゴミを漁っていた女に拾われた子はトーマスと名付けられ、女とその夫が暮らすヒューイット家で育てられる。トーマスは6歳のときから、動物を殺して解体するなど異常性が際立っていた。やがて9歳から食肉処理工場で働き始めた彼は、30歳のとき工場が閉鎖された衝撃から工場長をハンマーで殴り殺してしまう。住む土地に異常な執着を持つヒューイット一家は、捜索に来た地元の保安官まで殺害する。こうしてヒューイット一家の殺戮が始まった…。

アメリカでは3作目も公開されたことだし、予習として何年かぶりに「テキサス・チェーンソー・ビギニング」を観ました。

この"若者達がド田舎で殺人鬼に出くわした"ってゆー「悪魔のいけにえ」フォーマットで作れた作品はさんざん観たけど、やっぱり本家のクオリティは高いですね。特にこの「ビギニング」は古典的なようで新しいセンスが加えられているように感じます。

全然クズじゃないのに殺される若者達。スラッシャー映画で犠牲者となる若者達はSEXやドラッグにあけくれるているのが一般的ですが、本作の若者達はごくまとも。恋人との将来に悩む普通の若者達というところに強い悪意を感じます。また、中盤あたりまでメインキャラは誰も死にません。あまり関係ない人間が犠牲になるシーンが続く中で、主人公達のキャラが掘り下げられていき、その後の展開の悲痛さを増します。

それにしても、彼らは運悪く変態一家に捕まってしまったけど、本気出せば逃げられるんじゃないの?というシーンが多々あり。観客が想像つくレベルの助かる可能性は潰しといてほしい。レザーフェイスが超人なので逃げられなかったという説明では苦しい。また、変態一家・レザーフェイス誕生の原因についての言及が物足りない。そもそも精肉工場が閉鎖するまでトーマス(レザーフェイス)が普通の社員に混ざって働いていたこと自体ナゾなんだけど・・・。お昼休みとかどうするんだろ?同僚と呑みに行ったりとかなかったんだろうか?

テキサス・チェーンソーのビギニングとしては消化不良だし、ご都合主義も多分に感じるけど、21世紀のスラッシャー映画としては十分な出来だと思います。三作目は日本で劇場公開したとしても僕の地元ではやらないでしょう。DVD待ちしてたら二年後くらいになりそうですね・・・。