フォレストオブザデッド

★★★ “ゾン流”ブームにとどめを刺す、本格ゾンビ映画の決定版登場!という訳のわからないキャッチコピーの森が舞台のゾンビ映画。原題は「SEVERED」。

あらすじ:木材伐採の多国籍企業が、バイオ技術を用いて植林の大幅アップを企てるが、実験は失敗、従業員や環境団体の人々が影響を受けてゾンビ状態となる。わずかに生き残った人々のサバイバルが始まる・・・!

ドーン・オブ・ザ・デッド」「ランド・オブ・ザ・デッド」に続く、本格ゾンビ映画・・・というふれこみの今作だけど、ロメロとは縁もゆかりもなし。なんていい加減な売り方だ!と鑑賞前は思っていたんけど、これがまた意外な良作でした。最近多い自主製作モドキの低予算ゾンビと違い、そこそこの予算でしっかりと製作された、立派なB級ホラー。

舞台となる森林は外界と隔絶され、また主人公達は木材伐採企業の者と環境保護の抗議団体というギスギスした関係で、何もかも不安だらけ。そんななか仲間が死んだり、危機を乗り越えるうちに少しずつ協力関係が生まれるなど妙に物語性に富んでたり。血のように滴る樹液を浴びてゾンビ化ってのも雰囲気あってイイ。ゴアシーンは殆どないけどゾンビの造形自体はしっかりしてるし、激しく切り替わるアクションシーンは迫力もあります。

ただ、森の中でゾンビをゲームのように撃ち殺してる連中がいたりするのは、ロメロのゾンビにもあるエピソードのオマージュなんだろうけど、ちょっとあざとい。またせっかく業者と抗議団体が行動を共にするのなら、お互いにある言い分をぶちまけ合うエピソードがあればなあ。森林を巡る両者の争いにも何かしらの決着が欲しかった。なんだかラストは投げやり。そうは言っても標準以上のゾンビ映画なので、過度の期待をしていなければオススメです。