『死霊のはらわた』リメイク観てきたよー

なんばパークスシネマで「死霊のはらわた」のリメイクを観てきました。公開をスゴく楽しみにしていた作品だったのですが・・・

いや、まあなかなか良かったと思いますよ。発表当初、ぜんぜん知らない監督によるリメイクと聞いて不安になってましたが、予告編通りのシリアスな血みどろスプラッターに仕上がってました。ちなみに今作のフェデ・アルヴァレズ監督が「死霊のはらわた」と関わるきっかけとなった作品はこちら↓


地下室から悪魔憑きが顔を覗かせるシーンや、腕をアレしたり、あの武器が登場したり、オリジナルファン向けのネタもやりすぎない程度にちらほら。

この手のスプラッターの上映としては珍しく大スクリーン大音響というかなりの良環境で観れたのも良かった。特にサラウンド感が素晴らしく、屍肉に群がるハエの飛び回る音はまるで耳の周りに実在するかのよう、という無駄な力の入りよう。またCGを極力使っておらず、特殊メイクならではのヌルヌルした質感は強烈な気味の悪さを演出してました。

ただ、クラシカルなホラーに違いないため、映像や音以外の新鮮さには欠けたかな・・・。特に最近は「ゾンビランド」「タッカーとディル」「キャビン」といったジャンルそのものをパロディにしたり、メタ的な視点からの作品が流行り?のため、こういった直球の作品はとくに煽りを食うとこがあるような・・・。

既に決定しているらしい続編がまた数年後に公開されるだろうし、次には更に期待してます。出来れはまた大きな劇場でみたいけど難しいかなー。

和製X-ファイル!『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』

白石晃士監督のフェイクドキュメンタリー、『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』を観ました。

昨年の「FILE-01口裂け女捕獲大作戦」に始まり、「FILE-02震える女」「FILE-03人喰い河童伝説」がリリースと、順調にシリーズ化が進んでいる今作、これがスゴく面白い!

映像制作会社に送られて来た投稿映像を元に現地取材を行う「ほん怖」のフォーマットを取りながらあくまでフィクションとしてエンタメするサービス心が素晴らしい。

白石監督は「オカルト」「ノロイ」のようなフェイクドキュメンタリー作品をたくさん撮ってるけど、今作が最もリアルと虚構のバランスがとれていてるように思います。幽霊を追いかけていたかと思いきや宇宙人と遭遇したり、人喰い河童と相撲をとったり、監督本人が意識していると言われているように、フェイクドキュメンタリーでありながら毎回観客を驚愕させる飛躍した展開。

また、主人公?となる工藤ディレクターのキャラクターが新しい。白石監督の「バチアタリ暴力人間」に登場する彼らを下敷きにしたのではないかと思われる、傍若無人なキャラクターは全く共感は呼ばないけど、惹きつけられる魅力に溢れています。ミスした部下は殴る、聞き込み相手を殴る、霊に憑かれた人は殴って正気にもどす、河童にカウンターパンチをキメる、心霊モノの定番をぶち壊す彼の突破力はこの作品の最大の魅力。

ファイルごとに物語は独立してるものの、シリーズ通して大きな異世界との干渉が描かれていくような展開になりそうで今後が楽しみ。ちなみに次作は「真相!トイレの花子さん」で、予告を見る限り、花子さんと物理的に戦う工藤Dの姿が見れそうです。

怪物達の喧嘩商売『モンスタートーナメント』

モンスター・トーナメント 世界最強怪物決定戦 [DVD]

モンスター・トーナメント 世界最強怪物決定戦 [DVD]

★★

過去の遺物として忘れ去られてしまったモンスターたちが、世界最強のモンスターを決める格闘イベント「モンスター・トーナメント」のために集められる。ミイラ男、レディ・バンパイア、フランケンシュタイン、ゾンビマン、サイクロプス、ウィッチ・ビッチ、スワンプ・ガット、そしてオオカミ男の8体がリングに上がり、どちらかが再起不能になるまで時間無制限、ギブアップなしの究極のデスマッチを繰り広げる。

最初の30分、いや20分は面白いんですよコレ。まずトーナメントの前に各地に棲むモンスター達のエピソードが語られるわけです。魔女狩りに追われたウイッチビッチ、軍が保管していた最強のゾンビマン、フランケンシュタインなどなど。彼らのほとんどは戦う理由を持ちトーナメントにのぞみます。まさに喧嘩商売(長期休載中)のような。このモンスターのバックグラウンドを語ってるうちが盛り上がりのピーク。戦いが始まってみれば、ほぼ普通のプロレス。それもそのはず、モンスターを演じてるのは本物のレスラーだそう。キン肉マン的なあってないようなルールなので、それぞれ自分の得意技を披露したりもあるけど、一番の大技が一回戦の一つ目巨人サイクロプスが放つ、目から怪光線。二回戦、決勝と進むに連れてタダのプロレスの試合になって行き、なにやら製作が飽きたんじゃないのか?と思わせるほどグダグダな結末を迎えます。

設定は面白いのでもう少しお金をかければ良い作品になったのではないかと思わせられる、惜しい作品でした。

全ての始まり?『テキサス・チェーンソー ビギニング』

★★★

1939年8月、一人の赤ん坊が食肉処理工場で生まれた。その生まれながらに肢体の不自由な子は包装紙に包まれ、直ぐにゴミ容器の中に捨てられた。たまたまゴミを漁っていた女に拾われた子はトーマスと名付けられ、女とその夫が暮らすヒューイット家で育てられる。トーマスは6歳のときから、動物を殺して解体するなど異常性が際立っていた。やがて9歳から食肉処理工場で働き始めた彼は、30歳のとき工場が閉鎖された衝撃から工場長をハンマーで殴り殺してしまう。住む土地に異常な執着を持つヒューイット一家は、捜索に来た地元の保安官まで殺害する。こうしてヒューイット一家の殺戮が始まった…。

アメリカでは3作目も公開されたことだし、予習として何年かぶりに「テキサス・チェーンソー・ビギニング」を観ました。

この"若者達がド田舎で殺人鬼に出くわした"ってゆー「悪魔のいけにえ」フォーマットで作れた作品はさんざん観たけど、やっぱり本家のクオリティは高いですね。特にこの「ビギニング」は古典的なようで新しいセンスが加えられているように感じます。

全然クズじゃないのに殺される若者達。スラッシャー映画で犠牲者となる若者達はSEXやドラッグにあけくれるているのが一般的ですが、本作の若者達はごくまとも。恋人との将来に悩む普通の若者達というところに強い悪意を感じます。また、中盤あたりまでメインキャラは誰も死にません。あまり関係ない人間が犠牲になるシーンが続く中で、主人公達のキャラが掘り下げられていき、その後の展開の悲痛さを増します。

それにしても、彼らは運悪く変態一家に捕まってしまったけど、本気出せば逃げられるんじゃないの?というシーンが多々あり。観客が想像つくレベルの助かる可能性は潰しといてほしい。レザーフェイスが超人なので逃げられなかったという説明では苦しい。また、変態一家・レザーフェイス誕生の原因についての言及が物足りない。そもそも精肉工場が閉鎖するまでトーマス(レザーフェイス)が普通の社員に混ざって働いていたこと自体ナゾなんだけど・・・。お昼休みとかどうするんだろ?同僚と呑みに行ったりとかなかったんだろうか?

テキサス・チェーンソーのビギニングとしては消化不良だし、ご都合主義も多分に感じるけど、21世紀のスラッシャー映画としては十分な出来だと思います。三作目は日本で劇場公開したとしても僕の地元ではやらないでしょう。DVD待ちしてたら二年後くらいになりそうですね・・・。

餌にしてやる!『オープンウォーター・サバイバル』

★★

原題は「THE WATERMAN」。海洋トラブルスリラー「オープン・ウォーター」とは全く関係がありません。なんだか酷く志の低い邦題ですが、作品自体はなかなかのクオリティーでした。

ストーリーはいたってシンプル、若い男女6人が乗ったクルーザーが沖でエンスト。たまたま通りがかった漁船に救助されるが、乗っていたのは殺人鬼で・・・

悪魔のいけにえ系スラッシャー映画。殺人漁師に攫われた6人は次々と残酷に殺されていきます。殺人鬼は漁師なだけあってタフ、主人公達もけっこうマッチョですが、いかんせん日々漁で鍛えてる漁師にはかないません。また、漁師が凶器として使う三つ又のでっかいフォークみたいなの(大型の魚を刺して引き揚げるやつ)は強力で手が出ない。さて、どうやって脱出するのか・・・。かなり生々しいグロ描写、爆発あり、アクションありの盛りだくさん。登場するヒロインは全員オッパイ露出、とサービス多め。主人公達はこの手のホラーにしては随分冷静で、前向きに立ち向かうところが、この作品のささやかな個性ですね。
驚くような展開はないけれど安っぽくはないので、この手のスプラッターな作品が好きな人には良い暇潰しになると思います。オススメです。

それにしても殺人漁師は人間を殺してカニの餌にしてるんだけど、ふつーのパック入りの肉を「これは人肉だ・・・」って言うのは、かなり言ったもんがちですね。

ゾンビになっても自己責任!『eXエックス』

★★★

新薬の臨床実験に応募した、4人の被験者たち。麻酔から覚めた彼らの肉体からは、奇妙なことにあらゆる外傷が消滅していた。彼らに投与された《B15》は、細胞を再生し元の状態《EX》に戻す薬物らしい。しかしその副作用は猛烈で、前タイプ《B14》の被験者は凶暴なゾンビに変身。隔離病棟では、傭兵部隊との壮絶な戦闘が続いていた。《B15》感染者の肉体には、どんな症状が現れるのか?ただ1人、《B14》実験を生き残った被験者の秘密とは?そしてついに、恐るべき真実が明らかになる…。

南アフリカのホラー作品。南アフリカを舞台にした作品は「ブラッド・ダイヤモンド」「ホテル・ルワンダ」「第九地区」等いくらでもありますが、南アフリカ製の映画はあまり観た記憶がありません。しかもホラー。期待して鑑賞しましたが、わりと標準的なゾンビ映画でした。

臨床実験の失敗によってゾンビ化した被験者達は人間を襲い、襲われた人間も更にゾンビになり暴れます。生き残ったメンバーはなんとか施設からの脱出を試みるわけですが・・・。臨床実験の目的や、外傷が消える謎などサスペンス要素があり、ラストには衝撃の真実が明かされるのですが、そこまでが随分長い。舞台が病院内に絞られているため映像に飽きが来る、またPOVでもないのに画面がかなり揺れるのでちょっとしんどいです。

赤黒く、牙が生えたゾンビのビジュアル、コントラスト強めの映像は良いと思うので、ちょっと惜しい。最近は「ゾンビ大陸アフリカン」なんてゆーアフリカを舞台にしたゾンビ映画が話題になったりしてましたが、南アフリカ製作のゾンビは初めてでした。南アフリカで今ゾンビ映画がどれだけ作られているのか知りませんが、今後も要チェックですね!

そういえば学生時代、治験バイトのお誘いはたくさんあったけど、こーゆー作品を見るとやっぱりやらなくて良かったなあ。いや、行った人はみんなちゃんと帰って来てたけどね。

バレエとババアの恐怖!『リヴィッド』

★★★

介護ヘルパーのリュシーは、かつて厳格なバレエ教師として名を馳せ、今は寝室で寝たきりの生活を送る資産家の老婦人ジェセルの邸宅に、秘密の財宝が隠されているという話を耳にする。リュシーは、ボーイフレンドのウィルと悪友ベンを誘い、夜中にジェセルの屋敷に忍び込むが、死んだはずのジェセルの娘アナが純白のバレエ衣装に身を包んで現れ、恐ろしい惨劇が始まる。

グロスプラッター「屋敷女」(2007)で長編デビューしたジュリアン・モーリーアレクサンドル・バスティロ監督コンビによる新作。

今回はフランス映画では珍しいらしいゴシックホラー。監督コンビへのインタビューによると今後も色んなジャンルの作品を考えているらしい。今作の製作前には「ハロウィン」「ヘルレイザー」製作のオファーもあったが頓挫したとか。

前作に比べてゴア描写は控え目だけど、暗闇で襲いかかるバレエダンサーや老婆のインパクトはなかなか強烈。古い屋敷・バレエと来ると「サスペリア」を彷彿とさせられるが、実際影響は大きかったらしい。こっちの方がスプラッターだけど。オッドアイ巨乳ヒロインのリュシー(クロエ・クールー)はムチムチしててメチャ可愛い(出産直後の撮影だったらしい)。リュシーと一緒に屋敷へ忍び込む仲間が少ないので次から次へと、というわけには行かないがみんな期待通りの惨死っぷり。特に顎を引き裂く描写にはこだわりがあるようで耐性ない人にはちょっとキツいかも。あんまり強烈なグロを期待すると肩透かしをくらうかもだけど、ゴシックホラー好きにはオススメです。