『遊星からの物体X ファーストコンタクト』

★★★★

ノルウェーの南極観測隊が、氷の中に閉じ込められた未知の生命体を発見。古代の生物ではないかと推測され、その調査のために考古生物学者ケイト(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)が彼らの基地に向かう。だが、生命体は解凍されて長い眠りから覚醒。しかも、それはほかの生物の体内に侵入しては、細胞を同化して宿主そのものに擬態する、宇宙からやって来た生命体だったのだ。突如として宿主の肉体を破壊するように変形しては襲い掛かる生命体によって、彼らは誰が同化されているのか判断できない状況になっていき……。

邦題のまんま、ジョン・カーペンター監督の傑作モンスターホラー「遊星からの物体X(82')」(これも51年「遊星よりの物体X」のリメイクですが)の前日譚。今流行りですね、こーゆーの。「プロメテウス」だとか「ホビット」だとか。さんざんフォロワーと呼べる作品が作られた作品ですが、遂に元祖の正式な新作が公開。前作への愛に溢れながらも、オリジナリティを感じさせられる良作でした。
ヒロインは「ファイナル・デッドコースター」や「スコットピルグリムVS邪悪な元カレ軍団」などに出ていたメアリー・エリザベス・ウィンステッド。名前を認識してませんでしたが、結構有名な作品に出演してるのを見る女優さんです。

今作は前日譚でありながらリメイクのようでもある構成になっており、展開が酷似しています。またエイリアン発見からトラブル発生までの展開は速い!ほぼ全ての観客は前作を鑑賞済みという前提なのでしょう、テンポ良く展開します。ただし先日公開された「ヘルレイザー・リベレーション」のようにファンの認知に甘え必要な説明を省くこともなく、エイリアンが人間に化ける理屈は学者であるヒロインによって丁寧に解説されます。

クルーの中に化けたエイリアンが混ざるあたりからのサスペンス展開は前作通り。前作を下敷きにはしていますが、勿論まんまというわけではなく、エイリアンと人間を判別するためのアイデアなど今作オリジナルの要素も。(アレで判別するのであれば僕はエイリアン認定されて焼き殺されてしまうんですけど。)

今作のエイリアン、なかなかキモくて前作への素晴らしいリスペクトを感じる出来なのですが殆どがCG、生身の人間と絡むとやはり違和感を感じるのは残念です。ただ、CGでなければ不可能な面白い演出も多々あったのも間違いありません。基地内で次から次へとクルーを吸収し、キモい変化を繰り返すエイリアンは当時では出来なかった表現でしょう。エクソシストウォークでほっぺたスリスリしてくるおっさん型エイリアンには爆笑しました。本当にキモい!笑 ちなみにファンのみんなが大好きなスパイダーヘッドの登場はナシです。

ラスト→エンドロールに挿入されるエピローグの流れはファンサービスとして最高!これを観たあとには82年版が観たくなること必至です。82年版はBlu-rayの画質が本当に素晴らしいのでファースト・コンタクトの後に観ても全く見劣りしません。セットでオススメです。