なんじゃこりゃ!『ドリル・マーダーズ美少女猟奇殺人事件』

★★★★

楽家ラーヴンのもとに、娘のヨハナが頭蓋骨を損傷され、殺されたと警察から連絡があった。しかし、彼女は今しがた帰宅していた。間違いの電話であったことを確かめる為、ラーヴンはヨハナの部屋へ行く。が、彼女は様子がおかしくなっており、黒い液体を吐きながら、彼に襲いかかって来た・・・。一方、その頃街では、電気ドリルが使われた連続殺人事件が発生し、その数は30を越えていた。この異常な状況に警察は手をこまねく。そして、病院に収容された死体全てが動き始めた…。


これは面白い!予備知識ナシで観てこんなにヒットしたのは久しぶり。間違いなくヤル気のない邦題で損してます。ひょっとして邦題つける仕事の人は冒頭の10分だけしか観てないのではないでしょうか?ドリル持った人は確かに出てくるけど、そんなにマーダーでもないし、「13日の金曜日」的なものを期待すると肩透かしを喰らうかと思います。

主人公のラーヴンは顔色悪い腹の出たオッサン(高校球児並みに眉細い)、一応かわいいヒロインはいるものの殆ど本筋にかかわりません。ドリルマーダーとそれを追うラーヴンを中心に物語は進行します。娘を廃人にされ復讐に燃えるラーヴンは、たまたま車を走らせているとドリルマーダーに遭遇、そこからサスペンス調の追跡劇がスタート。なんとかドリルマーダーの犯行現場、アジトと思われる工場をおさえたラーヴン。警察に駆け込むも全く相手にされない。止むを得ず自らドリルマーダーのアジトに乗り込むのだけど・・・

ここからまるまるネタバレ

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『遊星からの物体X ファーストコンタクト』

★★★★

ノルウェーの南極観測隊が、氷の中に閉じ込められた未知の生命体を発見。古代の生物ではないかと推測され、その調査のために考古生物学者ケイト(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)が彼らの基地に向かう。だが、生命体は解凍されて長い眠りから覚醒。しかも、それはほかの生物の体内に侵入しては、細胞を同化して宿主そのものに擬態する、宇宙からやって来た生命体だったのだ。突如として宿主の肉体を破壊するように変形しては襲い掛かる生命体によって、彼らは誰が同化されているのか判断できない状況になっていき……。

邦題のまんま、ジョン・カーペンター監督の傑作モンスターホラー「遊星からの物体X(82')」(これも51年「遊星よりの物体X」のリメイクですが)の前日譚。今流行りですね、こーゆーの。「プロメテウス」だとか「ホビット」だとか。さんざんフォロワーと呼べる作品が作られた作品ですが、遂に元祖の正式な新作が公開。前作への愛に溢れながらも、オリジナリティを感じさせられる良作でした。

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もっとデカくてもいいだろ!『マンイーター』

★★

ウルフクリーク 猟奇殺人谷」のグレッグ・マクリーンが製作と監督と脚本の三役をこなしたサバイバルムービー。2007年の作品だけど大人の事情で?日本では2012年公開。サム・ワーシントンが「ターミーネーター4」「アバター」で売れる前に脇役で出演。パッケージは主役を差し置いてサムがセンターを飾ります。

世界遺産に登録されているオーストラリアのカカドゥ国立公園で、観光客を乗せたリバークルーズ船が何者かに襲われ沈没する。現地ガイド(ラダ・ミッチェル)を含む乗客らは何とか川に点在する小島に到達するものの、彼らを襲った巨大な何かの正体は不明のままだった。やがて満ち潮になったため、乗客たちは対岸に渡ろうとするが……。

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空飛ぶ吸血鬼!『フライ・オブ・ザ・デッド』

★★★

大都会に憧れ、田舎町を出ることを決めたアンバー。彼女は5人の友人とともに、引越し先のシカゴへ旅立つが、その旅の途中で車が故障してしまう。途方に暮れるアンバー達の前に停車する1台のトラック。シカゴへ向かうという運転手に頼み込み、アンバーと仲間はその荷台に乗り込んだ。新しい街での生活に夢をふくらませるアンバー。だが、トラックが停車したのは、人里離れた薄暗い廃倉庫だった。ここはどこで、一体何が起こっているのか…。

閉じ込められた倉庫の中では何やら怪しい気配。姿を現すまでバサバサと何か羽ばたく音でその存在を感じさせるヴァンパイア。だけど現れたら・・・アレ?羽ないやん。なんだったのあの羽音は。
ヴァンパイア達は武空術的な力で自由に飛び回り、アンバーの仲間達を血祭りにあげていく・・。一方的に追い詰められる人間たち。もう終わりかと思ったそのとき、丁寧に散りばめられていた伏線が回収され、すべての真実が明らかに。

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また山田悠介!『ビンゴ』

★★

リアル鬼ごっこ」「×ゲーム」などで人気のホラー作家・山田悠介による同名小説を、「海賊戦隊ゴーカイジャー」の清水一希主演で映画化したサスペンス。

死刑制度の大改正が行われ、刑を執行するか否かを、被害者家族らがビンゴゲームで決めることになった近未来の日本。とある罪で収監させられた正哉は、凶悪犯罪者たちと一緒に不気味な巨大ビンゴカードの上に連れてこられる。そこは、自分がビンゴになれば即死刑執行となる「人間ビンゴ」の会場だった・・・
山田悠介お家芸のハチャメチャ近未来シチュエーションスリラー。この人の作品は実写化向きですよね。似たような小説が多いけど、ジャンル作家として一定の客層掴んでるんでしょう。

映画はいかにもジョリー・ロジャーらしい低予算作品で、撮影地はどこかの倉庫と会議室、だけど映像の作りがしっかりしてるのでそんなに安っぽくはない。

被害者とその家族の投票によってビンゴの目が決まり、ビンゴの列が揃うと刑が執行される。ビンゴの性質上、ゲーム性が薄く、囚人達にできることは、マジックミラー越しに見守る被害者親族へ更正を訴えることで生存率を上げるのみ。一回一回投票を経た上でビンゴ(例のぐるぐる回すやつ)が行われ、揃うと執行、が眈々と行われるだけなので退屈だが、終盤にはいちおうの驚愕の展開が・・・。原作は未読だけど短編らしいので、きっと巧くまとまってるんでしよう。2時間の劇場用作品としては間延び感が否めないですが。

ヒロインのAKB松井咲子は正直そんなにかわいくないけど、演技は下手なりに頑張ってたんではないでしょうか。山田悠介松井咲子のファンの方にはオススメの作品です。

まだまだ続く!『クライモリ デッド・パーティー』

★★★

前作「クライモり デッド・ビギニング」から一年足らず、早くも待望?の続編が公開されました。近作はついにマウンテン・マン達が街に降り立ちます。といっても、町の祭のためにガランとした街なので大量殺戮が起きるわけでもなく、いつものように若者グループの面々+αが犠牲になっていくだけですが。

フェアレイクという小さな町でハロウィンに行われる『マウンテンマン音楽祭』へと遊びに来た5人の若者たちは、森の中で一人の男を轢きそうになってしまい避けようとした拍子に事故を起こして車を壊してしまう。ふとした事からその男と乱闘になった若者たちは、男と共に警察によって保護される事となるが、その男は実は、人喰いミュータントである『マウンテンマン』たちと共謀して殺人を繰り返す連続殺人犯で、やがて男を救おうとしたマウンテンマン達が町を襲撃に現れ…

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畑ってコワイ!『ザ・フィールド』

★★★

ドライブを満喫していた5人の男女の車が大量のカラスの追突で事故を起こし大破した。それはこれから起こる恐怖の連鎖の前兆だった。気が付くと仲間の1人の姿が見あたらない。辺りを見回すとそこにはトウモロコシ畑に囲まれたひとけのない街の校外。視界が遮られたトウモロコシ畑で日没と共に高まる恐怖。そして廃墟に灯る不気味な明かり…。最悪のシチュエーションで悲劇は始まった。


トウモロコシ畑×ホラーといえば「ヒューマン・キャッチャー」「フレディVSジェイソン」、スティーブン・キングの「死の収穫」「アーバン・ハーベスト」と結構色々。トウモロコシは生長すると人間の背よりも高くなるので、中で迷子になることもあるそう。広大な畑なら何か潜んでそうな気もしますね。トウモロコシはホラー定番野菜なのです。

今作はトウモロコシ畑の中で、案山子男が駆け回りながら襲いかかってきます。なかなか姿を現さず走る足元だけが映るカットは「チャイルド・プレイ」を彷彿とさせて不気味、だけどいざ出てくるとイップマンみたいなスゴイ手数で殴ったり切ったり。メチャメチャテンション高い!こりゃ勝てん。こりゃ勝てん感のあるクリーチャーっていいよね。まあ主人公たちはそこそこ素手でもやりあうんだけど。

トウモロコシ畑には小屋があり、案山子男に殺された人間は死体がその小屋のミシン室にワープ、自分の身体をミシンで縫って案山子男となり、さらに生きてる人間を襲うのです。どんどん増える案山子男で大変なことに・・・!

案山子男のルーツについても作中でボンヤリ幻覚という形で触れられますが、結局よくわかりません。続編があれば補足されるでしょうが、たぶん無いでしょう。

それにしてもこーゆーホラーで、化け物が襲ってくるルールに気づいて、脱出策を練るキャラが現れるのは定番だけど、大概仮定の根拠が希薄過ぎると思うんよね。亡霊が毎回必ずルールどおり動くと思えんのだけど。
そして、唯一のヒロインが即死になのはどうなの?意表はつくけどバランス悪くないかなあ。男ばかりで化け物に襲われても、ああ...まあ仕方ないよね、ってなるもの。

なんにせよコンセプトが同じ「案山子男」シリーズの100倍クオリティの高いB級ホラー。オススメです。